معلومات اساسية
国名:イングランド
年号:1662年
種別:パターン・クラウン(プレーンエッジ)
重さ:記録なし
材質:銀
直径:記録なし
鑑定:NGC PF55(Top Pop/NGC登録2枚)
来歴:Lingford Collection(Glendining, 24/10/1950, lot 266)→ Nightingale Collection(Glendining, 24/10/1951, lot 83)→ Whetmore Collection(Glendining, 14/7/1961, lot 57)→ K. V. Graham Collection(Glendining, 2/6/1963, lot 156)→ Inveruglas Collection(Noble Australia, 11/7/1995, lot 4463)→ Dr Rees-Jones Collection(Spink, 19/11/1996, lot 64)→ E. D. J. Van Roekel Collection(Spink, 15/11/2003, lot 95)/『English Silver Coinage』第4版(1974)表紙掲載コイン。
【R6】1662年 チャールズ2世 パターン・クラウン銀貨 プレーンエッジ / ESC-21 R6 / NGC PF55 Top Pop

【R6】1662年 チャールズ2世 パターン・クラウン銀貨 プレーンエッジ / ESC-21 R6 / NGC PF55 Top Pop
本コインは、1662年銘のチャールズ2世パターン・クラウン銀貨で、プレーンエッジ仕様の極めて重要な試作貨である。
表面には月桂冠を戴いたチャールズ2世の右向き胸像が刻まれ、胸像下には薔薇が配される。裏面は王冠付きの盾を十字状に配し、各角に連結した「C」を置く構成で、上下の盾は四分割紋章となる王権象徴の意匠が表現されている。
分類は Obv. L&S.3 / Rev. L&S.4、ESC 21 R6、Bull 421 R6 に属し、NGCでは Proof 55 の鑑定を受けた個体である。
本タイプは ESC および Bull の双方で R6 と評価される極めて高い希少度を持つ。
さらに旧蔵のロデリック・リチャードソンの注記には「R6 only two examples known」と記されており、古くから既知数のきわめて少ない名品として認識されてきたことがわかる。
ロット説明でも “Of the highest rarity” と評されており、チャールズ2世期のパターン・クラウンの中でも特に重要な一種と位置づけられる。
NGCポピュレーション上では同タイプの登録はわずか2枚のみで、本コインはその最高鑑定(Top Pop)の一枚にあたる。
文献上のR6評価、旧蔵注記にみられる既知数の少なさ、そして現代の鑑定登録数が強く響き合う点に、本コインの特別な価値がある。
وجه العملة
表面には、月桂冠を戴いたチャールズ2世の右向き胸像が刻まれている。
いわゆる laureate draped bust right の形式に属し、肩口には古典彫刻を思わせるドレープ表現が添えられる。
月桂冠は王を古典的権威の枠組みの中に置く意匠であり、王政復古後の君主像に静かな威厳と正統性を与えている。
胸像下の薔薇は、本タイプを識別するうえで重要な要素であると同時に、肖像面に引き締まった象徴性を添える細部でもある。
さらに旧蔵注記では、表面の肖像と銘文が全面的にフロスティングされている点が指摘されており、本コインが単なる試作貨ではなく、提示作品として高い完成度を備えていたことが示唆されている。
造形、象徴、仕上げのいずれをとっても、このオブバースはチャールズ2世期パターン貨の中でも特に格調高い出来栄えを示すものといえる。
الظهر (عكسي)
裏面には、王冠を戴いた盾を十字状に配した格調高い紋章構成が刻まれている。
各隅には連結した「C」が置かれ、上下の盾は四分割紋章となることで、チャールズ2世の王権とその統合性が表現されている。
十字状の盾配置は英国大型銀貨の伝統的構成を踏まえつつも、パターン貨らしく全体の均衡と秩序が強く意識された設計であり、各要素は単なる装飾ではなく、王の支配と正統性を視覚化する役割を担っている。
さらに旧蔵注記では、この裏面がプレーンエッジの金貨パターンと同じダイによって打たれたこと、また盾の縁に二重線とその間のフロスティングが施されていることが指摘されている。
これらの特徴は、本コインのリバースが意匠面だけでなく技術面においても特別な水準で制作されていたことを示している。
威厳、均衡、そして細部の緊張感を兼ね備えたこの裏面は、チャールズ2世期パターン・クラウンの中でも特に高い歴史的重要性を持つ意匠といえる。
歴史的背景
1662年のチャールズ2世パターン・クラウンは、王政復古直後の英国貨幣制度改革という極めて重要な歴史的文脈の中で生まれた試作貨である。
1649年にチャールズ1世が処刑され、イングランドは共和政(コモンウェルス)へと移行したが、1660年にチャールズ2世が帰還し王政が復活する。
この政治的転換は単なる王の交代ではなく、国家制度・象徴体系・貨幣意匠を含む広範な再構築を伴うものであった。
王政復古後、造幣制度そのものも大きく変化する。特に1662年は英国貨幣史において重要な年であり、この頃から従来の手打ち貨幣(ハンマード・コイン)に代わり、機械式鋳造による近代的なミルド・コインが本格的に導入される。
これは貨幣の精度や偽造防止の観点から極めて重要な改革であり、英国の貨幣製造はここで中世的技術から近代的造幣へと大きく転換する。本コインは、まさにこの変革期において新しい貨幣意匠と技術を提示するために制作されたパターン貨の一つである。
この時代の貨幣芸術を語るうえで避けて通れないのが、トマス・サイモン(Thomas Simon)とロティエ家(Roettier family)の存在である。
サイモンは英国内で活躍した卓越した彫刻家であり、1658年頃に制作された「ペティション・クラウン(Petition Crown)」は、英国貨幣史上もっとも著名な試作貨の一つとして知られる。一方、チャールズ2世は大陸から招聘された彫刻家ジョン・ロティエ(John Roettier)らロティエ家を造幣局に迎え、新時代の王室貨幣の制作を担わせた。
この1662年パターン・クラウンは、こうしたロティエの系譜に属する作品とされる。オークション記録でも、本コインはロティエによる作品群の一例として説明されており、サイモンのペティション・クラウンを含む当時の貨幣芸術の流れの中で制作されたと考えられている。すなわち本コインは単なる珍しい試作貨ではなく、英国貨幣芸術の主導権がどの様式に委ねられるかという歴史的競争の時代に生まれた作品なのである。
ロティエのスタイルは、サイモンの非常に精緻で彫刻的な表現に比べ、より整然とした古典主義的秩序を特徴とする。本コインのオブバースに見られる月桂冠付き胸像や、リバースの幾何学的に整理された紋章構成は、その典型的な表現といえる。王権の威厳を過度な装飾ではなく、均衡と格調によって示すという姿勢は、まさに復古王政の新しい国家像を象徴するものであった。
さらに旧蔵注記では、本コインのリバースがプレーンエッジの金貨パターンと同じダイによって打たれたことが指摘されている。これは本コインが単発の試作ではなく、複数の金属・形式で提示された意匠計画の一部であった可能性を示唆している。王室造幣局が新しい貨幣デザインを検討する際、複数のパターンを制作して比較・提示することは珍しくないが、本コインはその中でも特に完成度の高い例と考えられる。
また、このコインの歴史的価値をさらに高めているのが、その長い来歴である。Lingford、Nightingale、Whetmore、K. V. Graham、Inveruglas など、英国貨幣収集史に名を残すコレクションを経ており、さらに1974年版『English Silver Coinage』第4版の表紙を飾った個体としても知られる。つまり本コインは、単に希少な試作貨であるだけでなく、英国銀貨研究の象徴的存在として長く認識されてきた名品でもある。
このように、本コインは単なる珍しい銀貨ではなく、17世紀英国の政治・芸術・造幣技術の転換を凝縮した歴史的遺物といえる。
王政復古という国家の再出発の時代に生まれ、貨幣意匠の新しい方向性を提示したこのパターン・クラウンは、英国貨幣史を語るうえで欠かすことのできない重要作の一つである。
