ギリック肖像シリーズの頂点にして、戦後英国プルーフ・ソブリンの象徴的存在です。
1958年、ロイヤルミントで特別に鋳造されたプルーフ・ソブリン。
Marsh No.298B／WR-450 に分類され、Rarity R4（推定現存11〜20枚）として知られる“Proof of Record”Ist.
本コインはPCGSによるPR69 DCAM鑑定を受けた唯一の個体（#44636844, Single Finest）で、ギリック肖像シリーズの頂点に位置します。

Oberfläche (Vorderseite).

デザイン：メアリー・ギリック（Mary Gillick）
意匠：右向きの若きエリザベス2世（王冠なし）
銘字：ELIZABETH · II · DEI · GRATIA · REGINA · F : D : +
Bedeutung: "Elisabeth II., von Gottes Gnaden, Königin von England, Verteidigerin des Glaubens".

ギリック肖像は、1952年の即位を機に行われた英国造幣局のデザイン公募で採用されたもので、王冠を戴かない自然体の横顔が特徴です。
この肖像は1953年以降、イギリス本国の硬貨で初めて使用され、“ヤング・エリザベス”として国民的イメージを定着させました。
ソブリンにおける採用は1957〜1959年、1962〜1968年の間に限定されており、プルーフ版はその中でも特別鋳造のみが存在します。
メアリー・ギリック特有の柔らかな線彫と、高度な研磨技術による鏡面フィールドが調和し、若き女王の清廉な気品を永遠に封じ込めた作品です。

Rückwärtsgang (Rückwärtsgang)

デザイン：ベネデット・ピストルッチ（Benedetto Pistrucci）
意匠：聖ジョージが馬上で竜を討つ伝統図像
刻印：年号「1958」および「B.P.」のサイン（エクセルグ部分）
エッジ：ミルド（Milled Edge）

1817年以来続くソブリンの伝統意匠である「聖ジョージと竜」は、英国王権の勇気と守護を象徴します。
1958年のプルーフ版は、通常流通のブランクとは異なる選別金地金に、特別な磨き工程を経て鋳造され、金属面の深い輝きと強いカメオ効果を兼ね備えています。
鏡面フィールドとフロスト仕上げのコントラストが際立ち、光の角度により聖ジョージの筋肉線や馬体の躍動感が浮かび上がる点が最大の魅力です。

【歴史的背景】

1958年はエリザベス2世の即位6年目にあたり、英国が戦後復興から経済成長期へと移行しつつあった時代です。
この頃、イギリス社会では“Elizabethan prosperity（エリザベス朝の繁栄）”と呼ばれる新しい豊かさの兆しが現れ、王室は象徴としての安定を取り戻していました。
1958年のプルーフ・ソブリンは、一般流通を目的とせず、王室・要人への献呈品、あるいは造幣局技術見本としてごく少数のみ製造された「Proof of Record（VIP Proof）」に該当します。
そのため、実際の現存枚数はわずか十数枚と推定され、市場流通例も極めて限られています。

【市場評価】

近年、ギリック肖像シリーズは世界的に再評価が進み、特にプルーフ仕様は“ギリック期の頂点”として強い注目を集めています。
エリザベス2世崩御後はさらに需要が拡大し、PR68〜PR69DCAM級の上位個体は各国オークションで急速に価格上昇。
本コインはPCGSにおいて唯一のPR69 DCAM認定（Top Pop・Single Finest）であり、ギリック肖像を冠する全ソブリンの中でも唯一無二の存在です。
英国コインコレクターのみならず、世界のプルーフ金貨市場において象徴的な指標銘柄といえます。

【補足：メアリー・ギリック（Mary Gillick, 1881–1965）】
英国ノッティンガム出身の彫刻家。王立芸術大学を卒業後、記念メダル制作を中心に活動。
1952年、エリザベス2世の即位に際して行われた造幣局コンペで肖像デザインが採用され、王冠を戴かない自然な横顔という革新的コンセプトで高く評価されました。
彼女の作品は、王室の伝統と女性的な優美さを融合させた戦後英国デザインの象徴とされています。

1958年のプルーフ・ソブリンは、英国造幣史における“Proof of Record”シリーズの中でも最も神秘的で、収集家にとって到達点とされる存在です。
ギリック肖像の端正な美、ピストルッチの伝統意匠、そしてPR69DCAMという完璧な保存状態が三位一体となった本コインは、
まさに“The Masterpiece Coin”──英国プルーフ・ソブリン史の頂点を象徴する、世界にただ一枚の金貨です。

Das ultimative Stück für Sammler und Investoren.

(i) Die Krönung der Gillick-Porträtreihe.
1958年プルーフ・ソブリンは、エリザベス2世のギリック肖像を冠する全ソブリンの中でも最上位に位置づけられる希少プルーフ。
ギリックデザインのプルーフ版は流通貨に比べ圧倒的に少なく、コレクター垂涎の一品です。

Nur ein Exemplar auf der Welt.
PCGSによるPR69 DCAM鑑定は世界でこの1枚のみ（登録番号#44636844）。
現存するプルーフ・ソブリンの中で、唯一の“シングル・ファイネスト（最高位）”です。

(iii) Schöne Proof-Ausführung.
Cameo（カメオ）効果が極めて強く、視覚的な美しさが際立つ。
通常の流通ソブリンとは異なる特別なProof of Record製造技術による、鏡面とフロストの完璧な対比が魅力です。

(iv) Langfristige Vermögenswerte.
過去10年間でエリザベス2世のギリック肖像コインの価格は顕著に上昇。
最高鑑定品は世界的に需要が集中しており、今後もプレミアム価格での取引が見込まれます。