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【R5】イギリス 6ペンス|Spinkパターン金貨(ゴールド “Bavaria Edge”)|1887年|PF64+ Ultra Cameo|Top Pop(NGC唯一)

【R5】イギリス 6ペンス|Spinkパターン金貨(ゴールド “Bavaria Edge”)|1887年|PF64+ Ultra Cameo|Top Pop(NGC唯一)

【R5】イギリス 6ペンス|Spinkパターン金貨(ゴールド “Bavaria Edge”)|1887年|PF64+ Ultra Cameo|Top Pop(NGC唯一)

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基本情報

発行地:ニュルンベルク(バイエルン)
年号:1887年
額面:6ペンス(Pattern)
品位:金(Au)
重量:約4.60–4.63 g(NGCラベル4.60 g/カタログ4.63 g)
直径:約19–20 mm(六ペンス相当)
鑑定:NGC PF64+ Ultra Cameo(Top Pop/同社唯一登録)
文献:WR 379(R5)/ESC 1779 footnote(R4)/Bull 3305(R5)/Bruce X55A
来歴:Ex Thorburn Collection/Ex S. Alfred Bole Collection(DNW Auction, 2011年9月26日, Lot 1490)

1887年、ヴィクトリア女王の即位50周年(ゴールデン・ジュビリー)は、英国帝国の絶頂を象徴する一大国家行事でした。
これに際して、ロンドンの老舗ディーラー Spink & Son は、民間の立場から記念的な「試作シリーズ」を企画。
中心的役割を担ったのが、バーミンガムのディーラー ジョゼフ・ロシェル・トーマス(Joseph Rochelle Thomas, 1865–1938) です。
彼は父アルフレッド・トーマスの代から続く家業を継ぎ、造幣・収集・販売の三分野を横断する実務家として活動。
Spinkと協働しつつ、国外工房での試験打刻という当時として極めて先進的なアプローチを主導しました。

その打刻を請け負ったのが、ドイツ・ニュルンベルクの ラウアー工房(L. C. Lauer)
ラウアー家は18世紀から続くヨーロッパ最大級のメダル・ミント製造所で、蒸気プレスやウルホルン式コイニングプレスを早期に導入した革新工房でした。
彼らは英国的意匠を高精度で再現し、エッジに「MADE IN BAVARIA」の刻銘を施すことで“国外製造の透明性”を明示。
この刻印こそ、Spinkが民間として国際製造ネットワークを実現した象徴であり、工業化時代の国際協業を具現化した歴史的試金石といえます。

中でも本コインは、金製「Bavaria Edge」タイプの頂点に位置するPF64+ Ultra Cameo
文献上は R5(現存数5〜10枚級) に分類され、さらに NGC統計では唯一登録=Top Pop(世界最高位・唯一個体) として記録されています。
つまり「文献上の極稀少」と「鑑定上の唯一存在」が完全に重なる、Spink & Son パターン群の最高峰です。

この6ペンス金貨は、ヴィクトリア期における造幣芸術の実験精神と、産業美の極限を同時に具現化した“黄金の試作貨”。
ラウアーとSpinkが共有した工芸理想が、今もなお完璧な形で結晶していることを証する、
19世紀英国試作貨の資料的・市場的頂点 といえます。


表面(オブバース)

彫刻は宮廷彫刻家 ジョゼフ・エドガー・ベーム(Joseph Edgar Boehm, 1834–1890) によるジュビリー・ヘッド。
彼はウィーン生まれで、ロンドンに拠点を置き、ヴィクトリア女王の信頼厚く、王室公式肖像を手がけた彫刻家です。
ベームは、肖像を単なる“権威表象”ではなく“近代的肖像芸術”へ昇華させた人物で、貨幣芸術におけるリアリズムの先駆者といえます。

女王の横顔は左向き三分の四姿で、ティアラとヴェールが精緻に彫り分けられ、宝珠・耳飾り・衣装レースの立体感が圧倒的。
金特有の高反射光が彫刻の陰影をさらに強調し、PF64+ Ultra Cameoグレードにふさわしい強いコントラストを生み出しています。
銘文「VICTORIA. BY. THE. GRACE. OF. GOD. QUEEN. OF. GREAT. BRITAIN. EMP: OF. INDIA」は二重線内に整然と配され、レタリング間隔・句点配置が完璧に整列し、ラウアー工房の精密な刻印技術が際立ちます。
胸切り台(トランケーション)はプレーンで、刻印なしの初期鋳型タイプ。
肖像のフロスト(艶消し)と背景のミラーフィニッシュが極めて鮮明に分離しており、当時の最高技術水準を体現しています。


裏面(リバース)

王冠付きの四分割盾(クォータード・アームズ)を中央に据え、左にライオン、右にユニコーン。
この構図は英国王室の紋章そのものであり、国家権威の象徴と同時に、帝国の統合を示す意匠です。
盾下には三国を表す花徽章(薊・薔薇・シャムロック)が配され、民族的連帯を寓意しています。
下部には「SPINK」「& SON」の刻印が入り、民間試作であることを明示。
外周には「SIX PENCE」およびローマ数字年号「MDCCCLXXXVII」
全体のバランスは王冠貨(クラウン)の構図を小径化して再現したものと考えられ、細部に至るまで金属の張りと密度感を活かした緻密な造形が見られます。

エッジ部の「MADE IN BAVARIA」刻印は、外注製造を明示する唯一の要素であり、深く均一に打たれた刻銘はラウアー工房の誇りそのもの。
それが金製品で確認されるのは本例が唯一とされ、まさに「国際協業の金字塔」といえる仕上げです。


歴史的背景

1887年は英国工業文明の成熟期。
このパターン・シリーズは、ヴィクトリア朝が誇った造幣技術・産業美・国際交流の交差点に位置します。
ラウアー家によるドイツ的精密工芸と、Spink & Son の英国的意匠が融合した結果、ジュビリー・シリーズの中でも特異な「英独協業型コイン」が誕生しました。

素材としての金(Gold)は、シリーズ中もっとも高貴かつ実験的な金属でした。
当時、金は王権・繁栄・不朽を象徴するだけでなく、国際的な貨幣標準の基盤でもあり、この6ペンス・パターンは単なる試作品を超えて「帝国の縮図」として打たれたものと考えられます。

記録によれば、Spinkパターンの金製6ペンスは わずか7枚前後の製造 に留まり、その中で 「MADE IN BAVARIA」刻印を持つ個体は本品のみ
同タイプはWR 379で図示され、Wilson & Rasmussenによる標準参考図版にもこの品を基準重量(4.60g)として引用しています。


市場評価と希少性

文献上、本コインは WR 379/Bull 3305/Bruce X55A で R5(現存数5〜10枚級) と分類。
ESC 1779脚注でも R4〜R5 に位置づけられ、事実上「世界に数枚の領域」と評価されています。

NGCでは PF64+ Ultra Cameo として唯一登録。
Cameoの中でも+評価を得た唯一個体であり、現存するあらゆる同型品の中で最高位=Top Pop に君臨します。
この「文献上R5」+「統計上唯一存在」という二重希少性は、パターン貨全体でも数例しか確認されません。

金製パターンの中でも、本品の光学的完成度は特筆的。
フロスト層が厚く、背景の鏡面は深い反射を持ち、女王像の陰影が劇的に立ち上がります。
4.60gという計量は、WR標準値と完全一致し、実測値の信頼性も高い。

さらに本品は Thorburn Collection(ソーバーン・コレクション) 由来。
同コレクションは、ヴィクトリア期パターン貨の体系的蒐集で知られ、特に Spink 試作品群の完全系列を揃えたことで著名です。
その前段階の所有者は S. Alfred Bole Collection(DNW Auction 2011年, Lot 1490)で、英国試作貨コレクション史における2大名家を連ねる「正統な系譜」を有します。
来歴・保存・鑑定の三拍子が揃う資料的個体は、学術的にもトップクラスの参照価値を持ちます。


1887年 Spink & Son パターン6ペンス(ゴールド “Bavaria Edge”)は、英独の造幣技術が結晶した、19世紀試作貨の最高峰と呼ぶべき存在です。
文献上 R5(極稀少) に指定され、NGCでは PF64+ Ultra Cameo=Top Pop(唯一登録) を誇る唯一無二の個体金製Spinkパターン全体系の中でも「Bavaria Edge」刻印を持つのは本品のみであり、国家的記念・技術革新・国際協業の三要素を凝縮した、歴史的・芸術的・資料的金字塔です。
Thorburn Collectionの名を冠するこのコインは、単なる収集品を超え、ヴィクトリア期貨幣芸術の精華として未来に残すべき「黄金の遺産」といえるでしょう。

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