PCGS PR63 Cameo【TOP POP：登録2枚】の1871年ヴィクトリア女王プルーフ・ソブリン。
市場出現は極めて稀で、現存数×グレードの両面からコレクター垂涎の一枚です。
文献上の希少性も突出しており、W&R-319でR7（理論上1〜2枚相当とされる超希少）／Marsh-84CでR2（Very Rare）の評価。
※R7は文献上の希少度指標であり、実際の現存数は市場出現例などから文献値を上回る可能性が指摘されています。それでも本型は依然として極めて稀少な部類に属します。Rレーティングはカタログ文献の希少度指標で、鑑定機関のポピュレーション（登録数）とは別概念です。PCGSの登録数は随時更新されるため、掲載時点の値を併記しています。
本コインは文献上ではR2の評価ながら、PCGSにおいてTop Popを占める稀少個体であり、その特別な位置づけからRAO Coinsにてご紹介しております。

表面はワイオン作の若き女王胸像（銘文 VICTORIA D:G: BRITANNIAR: REG: F:D:）、裏面はピストルッチ作のセントジョージ竜退治（作者イニシャル“BP”）。
濃密なフロストと深いミラーが生む強いカメオコントラスト、鋭い打刻により、女王の髪飾りやセントジョージの躍動感まで精緻に映えます。

ด้านหน้า
—若き女王の「威厳と清廉」を刻む

肖　像

ウィリアム・ワイオン（William Wyon）作の〈ヤングヘッド〉。
後頭部でまとめた髪をリボン（フィレット）で束ね、うなじから顎のラインまで滑らかな面でつなぐことで、若々しさと理想化された美を強調。

仕上げ

顔面・胸部の濃いフロスト（マット）と、背景フィールドの深い鏡面が強いカメオコントラストを生みます。Proof打ち特有のダイ・ポリッシュ（研磨痕）がフィールドに細く走ることがあり、光を受けると放射状にきらめくのが特徴。

銘　文

“VICTORIA D: G: BRITANNIAR: REG: F: D:”（＝「神の恩寵によるヴィクトリア、ブリタニアの女王、信仰の擁護者」）。
各語の区切りにはコロン（:）を使用。外周は粒状のデンティクル（toothed border）で引き締められます。

象徴解釈（アイコノグラフィ※）

写実に傾きすぎない均整の取れた造形は、女王の清廉・統治の正当性・帝国の安定を視覚化。
豪奢な王冠や宝飾を避け、節度ある髪型と端正な輪郭で「節制された権威」を表現しています。
※絵や彫刻、貨幣などに描かれたモチーフ（人物・動物・持ち物・構図・記号）の “意味” や “象徴” を読み解く方法です。

鑑識のポイント

Proofならではのフロスト／ミラーの強弱（光を当てた際の“立ち上がり”が鋭い）。
髪束や耳周り、喉元の細線のシャープさ。磨かれたダイに由来する微細な研磨線がフィールドで直線的に見える場合あり。
年代により“WW”イニシャル**が襟元の切断部で視認できるタイプもありますが、視認性は個体差・撮影角度に左右されます（本品は記載に依存せず、肖像作者をワイオンと特定）。

ย้อนกลับ
—セントジョージの「正義と勝利」

主　図

ベネデット・ピストルッチ（Benedetto Pistrucci）による「セントジョージと竜」-
躍動する馬上の聖ゲオルギウスが、剣を振り下ろす刹那を切り取り、前脚を高く上げた馬体と、地に伏す竜の反転する曲線で緊張感を構成。

署名と年号

地面線（グラウンドライン）付近に彫刻師イニシャル “BP”（本品はLarge “BP”）。下部中央に“1871”の年号。

仕上げ

人物・馬体・マントなどの高肉部に強いフロスト、地のフィールドはディープミラー。Proofの鮮明なコントラストが、筋肉の起伏、マントの翻り、竜の鱗まで立体的に見せるのが魅力。

象徴解釈（アイコノグラフィ※）

聖ゲオルギウス＝善／信仰／勇気、竜＝混沌／悪を寓意。
「善の勝利」という普遍テーマが帝国の道徳的正当性を補強し、国外に広く流通したソブリン金貨の裏面として英国の顔を担いました。
※絵や彫刻、貨幣などに描かれたモチーフ（人物・動物・持ち物・構図・記号）の“意味”や“象徴”を読み解く方法です。

鑑識のポイント

Large “BP”のサイズ感（標準より堂々と大きい）。
剣・手綱・馬の鬣など細線のエッジが鋭いか（Proofらしい立ち上がり）。
竜の翼・胴回りの鱗の粒立ち、地面線の直線性とツヤ-
本品はPlain Edge／Medal Alignmentが標準仕様（表裏を同方向に回すと正対）。